【自作バインダー】栃木レザーでマニフォールド風システム手帳バインダーを作ってみた

2016年12月9日金曜日

レザークラフト

t f B! P L

フランクリン・プランナーから完全離脱

フランクリン・プランナー グランデクロコ・バインダーを卒業

前の記事で真の自作リフィルは完成しましたが、バインダーは依然FP純正バインダー↓のままであり、これを自作といってしまうのはやや語弊があるやもしれませんw。

使っていたのはFPグランデクロコ・バインダーコンパクトサイズ
↑のバインダーはもう5年以上使っており、革は手入れをしてるので割りかしキレイですが、ベルトのホックがイカれてパカパカな状態に。
また、ラミーのサファリ万年筆↓を使ってるのですが、太すぎてバインダーのペンホルダーに入らないため無理矢理クリップ側を差し込んでいたところ革が傷んでボロボロになってしまってます。


いつかはFPのコードバンバインダー↓が欲しいと思ってましたが、高価すぎて永久に買える気がしません。


ということで、コードバンはムリですが手元にあった栃木レザーでFPコンパクトサイズのバインダーも自作することにしました。

理想のバインダー機能は?

バインダーを作るのはもちろん初めて。
革細工を初めてもう3年以上になりますが、誰に教わるわけでもなく全く自己流で適当に作ってます。
どうせ作るのならオリジナリティがあったほうがよかろうということで、自分のニーズを再確認すると、
  • サファリ万年筆が入るペンホルダーが欲しい。
  • しかしサファリは安いだけあって、モンブランやペリカンと比べると(当たり前だけど)プラスチッキーでハズいのであまり見せたくない。
  • ペンは複数本収納したい。
  • 名刺入れはマル必。
  • 会社支給のタクシーチケットが冊子ごと入れられるポケットが欲しい。(使い始めた後、タクシーチケットは使用禁止になってしまいましたが。。。)
  • 携帯3台持ち(ガラケー/iPhone/Android)で社内会議のたびに落とさずに持ち歩くのが大変なので、携帯が収納できるファスナータイプにしたい。
  • クロコダイルバインダーの金具のリングが25mmで左ページが書きにくかったので、もっと薄い金具にしたい。(リフィルもウィークリーにしたしね)
  • いかにもオッサンのビジネス手帳って感じのデザインにしたくない(オッサンだけど)
なんてことがあります。
ということでまずは部材を調達するところから始めます。

栃木レザー・YKKエクセラファスナー・クラウゼの金具を調達

当然本革のバインダーを作るのですが、一旦作れば多少不出来でも4-5年は使うので、部材はそれなりにちゃんとしたものを用意しようということで、革は件の長財布を作ったときに浅草橋アビチで買った栃木レザーとヌメ革を使用。


→裏マニフォールドのラウンドジップロングウォレットを栃木レザーとYKKエクセラファスナーで自作してみたその1 浅草橋(ABC)アビチで格安栃木レザーを購入

実はこの時すでにバインダーを作ることを想定してそれなりの大きさのものを購入してたのです。

ファスナーも同じく長財布で使ったファスナー界のメルセデスとも言うべきYKKエクセラ(ルミナ)ファスナーを再度使用したいのですが、楽天で買うとクソ高いので、これも浅草橋のK-ファスナーというファスナー専門店で5号を1メーター購入。
値段はたしか2,000円しなかったような気がします。


大量に残ってるスライダーがムダにならずヨカッタです。

金具は楽天で見つけたクラウゼの15mmを調達。
クラウゼも高級システム手帳に使われる有名なメーカー品であります。


てことでラウンドジップウォレット同様に栃木レザー&エクセラファスナー&クラウゼ金具と材料だけは一級品が揃ったところで、いよいよ工作に取り掛かります。

一級品といえばこれですよねw。

マニフォールドにインスパイアされたシステム手帳を

ファスナータイプのシステム手帳3選

まずは参考になりそうなデザインモチーフを求めてネットを徘徊。
がしかし、ただでさえマイノリティになりつつあるシステム手帳の中でも、大ぶり且つ分厚くなりがちなファスナータイプのシステム手帳は種類も少なく、デザインも似たようなものばかりに思われます。
天下のファイロファクス様のファスナータイプはコチラ↓ですが

これはこれでご立派なのだと思いますが、なぜか食指が動かない。
まあ作りたくても作れませんが。。。

↓はダヴィンチの同じくファスナータイプ。


コチラのほうがまだ好みに近いかなと思ったり。
ちなみにFPのファスナータイプはコチラ↓。

(-.-;)ウーン。。。全くピンときません。
ビジネス手帳なので当然機能優先設計なのだと思いますが、そこから発想すると皆同じカタチになっちゃうんですね。

マニフォールドの神デザインにインスパイア

機能といっても、自分にとっては前述の要件さえ満たせば良いわけで、そもそもシステム手帳なので機能が足りなければリフィルとして後付けすることも可能。
てことで、ここは一旦システム手帳にこだわらず、純粋に革製品として所持したいと思えるモチーフを物色することに。
調べているうちに、大きさやファスナーという仕様から、デザインモチーフとして近いのはラウンドジップ型の財布であることに気付き、よくよく考えたらこないだ作ったばかりじゃん↓ということで、

➡ 裏マニフォールドのラウンドジップロングウォレットを栃木レザーとYKKエクセラファスナーで自作してみたその1

早速マニフォールドのサイトを見に行くと、もうこれにしくはないという感じなわけです。



使い易さと収納力、使い込んだ上でのまろやかな形状により、マニフォールドの主力定番となったOWA-12をファスナー付きのお財布に落とし込むことに成功した新商品でございます。
2010年末より取組みを開始させていただいた伝統の鞣しによるヌメ皮革に、芯に染料を入れることをせず芯白(しんしろ)となる染色を染料で施し、一枚ずつ丁寧に仕上げ致しました。
ヌメ皮革に関しましては、現在の主流である皮革に油を入れることをせず、そのままお使いいただくことで “ 昔ながらのヌメ本来の輝き ” を体感していただけることと思います。

カッコ良すぎ。これを肴に酒が飲めると思いますw。
ファイロファクス様とどこが違うんだよオラ!と問い詰められると困るのですが、佇まいの違いというか、手縫いの温かみとかRのついたフォルムとかちょっと無駄のあるデザインあたりがビジネス一辺倒じゃない感じでよろしいのではないかと。
いやFP使いこなせるビジネスマンはファイロファクス様でよろしいかと思いますが、FP落伍者の場合は「え?君なに?FPも使いこなせないのにファイロファクスなの?プププ」みたいなことになると凹むのでw。

ということで、こちらに激しくインスパイアされたデザインを目指すことにしたわけです。

設計図はCAD代わりのパワーポイントで作成

デザインの方向性が決まったので早速型紙づくりに入ります。
CAD代わりに使うのは例によってパワーポイント。

➡【リメイクトート作り】ハンティングワールドのボストンバッグをリメイクしてみた

当然リフィルの大きさをベースに設計しますが、金具のリングをこれまで使っていた25mmから15mmにして全体が薄くなることから、逆に天地左右幅はこれまでよりも大きくしてみました。
全体のフォルムはファスナーが回りやすいように角も割と緩やかなRを描くようにデザインします。

角のRをつなぐラインも直線ではなく弧を描くように
数少ない機能として名刺入れ、ペン差し、タクシーチケット用ポケットも実装。

左下がペン差し、右が名刺入れです。

タクシーチケット用ポケット。これは無くてもよかったかもです。
背表紙には装飾兼保護用のウィング?飾りをつけてみました。


どういう順番で縫うべきか、先に考えておく必要があります。
この工程は、大きさ・カタチとも何度となく調整しつつ、実際に型紙を切りぬいて時間をかけてシミュレーションしています。


特に金具は一度ハメると二度と取れないのでテストができず、穴の位置と大きさに悩みました。
んで、やっと型紙が完成しました!


マニフォールド(manifold)風システム手帳を自作してみた

革パーツの切り出し

型紙ができたので、いよいよ材料となるパーツを切り出します。
使う革は以前にラウンドジップウォレットの製作に使った2.1mm厚の黒の栃木レザーと、1.3mm厚のヌメ革。
この色の組み合わせが自分好みで、黒を外側に、ヌメ革を内側に使用します。

手帳を作ってもまだ余ります。革細工は自分で作ると安いんです。
革のパーツはこれだけ。ポケットは切り込みを入れただけです。

本体構造はシンプルも、なぜか作業工程は複雑に

まずはウィング部分を接着して内側部分だけ穴あけして縫い合わせます。


↑の写真左はわりと最近amazonで買ったステッチンググルーバー。1本5役(実際は3役)で便利です。
これを買うまでけがき作業は右の菱目打ちでやってましたw。また面取り作業に至っては何もしてませんでしたw。

ウィングの内側のみ縫い完了の図。外周はヌメ革とファスナーとまとめて最後の工程で縫い合わせます。
次に外側の黒革と内側のヌメ革をかさねてズレないように慎重に縫い穴を開けていきます。
通常は両方の革を接着してから開けますが、今回は間にファスナーと金具を挟むので、穴の開けやすさと穴位置を確認しやすいように先の工程としました。
このあたりのシミュレーションはわりとキチンと考えないとあとで痛い目にあうと思います。

両面テープで仮止めして固定してます。ファスナーの布地は針が通るので穴あけ不要。
穴が開いたら、難関のひとつである金具の取り付けにかかりますが、まずは下準備。
ファスナータイプで手帳を180度開かせるにはファスナーの両端が背表紙まで回り込む必要がありますが、背骨となる金具と干渉しないように設計段階から注意しないといけません。
金具は表に見える部分だけでなく革を挟むための内側に隠れた部分も存在します。
で、今回デザインするにあたって無駄に天地がデカくならないようギリギリを攻めた結果、この内側の金具がどうしても邪魔になり、両端を金ノコでカットすることにしました。

工作の記事にたまに登場する100均の金ノコ。
多少短くても機能的には全く問題ないと思います。

切った角を丸く削ったり意外に革細工と関係ないところで時間を食います。

慣れぬ漉き作業にチャレンジ

さらに準備は続きます。
本来金具で挟み込める革の厚さは決まっている(推奨0.7mm以下とのこと)ので、普通はそれに合わせて革を選択すべきですが、今回は材料ありきで作業してるので金具に合わせて革を漉く工程が発生します。
普段はやらない作業ですが、仕方がないので別たち(革包丁)でチャレンジ。

慣れない作業ゆえ案の定ヘクって穴が開きました(T_T)。金具で隠れる場所なので良しとします。
金具の有無に関わらず、革を重ねて折り曲げる構造のものは革自体の厚みを想定しておく必要があり、折り曲げ部分を開いた時に余った革を逃がすつくりにしておくか、影響のない最適な厚さを選択するかですが、経験も技術もない素人には難しい判断です。
製作後の反省としてはヌメ革はもっと薄い革を使うか、革を漉く面積を背表紙だけでなくもう少し広げれば良かったという点であります。

YKKエクセラファスナーとクラウゼの金具を取り付ける

次にファスナーの取り付け準備です。
ファスナーは、テープ部分だけをメーター単位で買ってきたので、長さを調節した上でウォレットを作ったとき同様に余分な務歯(ファスナーの歯)を外す地味で面倒な作業があります。
末端につける上止めと下止めは使いませんでした。

→裏マニフォールドのラウンドジップロングウォレットを栃木レザーとYKKエクセラファスナーで自作してみたその2

この作業を経た後にファスナーにスライダーを取り付けて本体の内側=ヌメ革側に仮止めします。

両面テープと要所は縫い糸を使って仮止めします。
スライダーの向きは既存のファスナータイプのシステム手帳同様に上部から開口するようにして、この時点でちゃんとファスナーが閉まるか、歯の位置にズレがないか、ファスナーの高さや縫い代は問題ないかを確認します。

ファスナーの高さもここで確認します。リング径が大きいとファスナーの布テープだけでは足りませんね。
ファスナー位置が決まったら、金具を取り付けます。
まず裏側の金具を仮止めし、本体に空けた窓から固定するための溝を覗かせます。

ヌメ革を裏から見た図です。
オモテから見ると窓から金具の溝が見えます。

ここにリング金具のレールが噛み合うようにスライドさせて固定するのですが。。。。

革が厚すぎてリング金具が溝の半分くらいで押しても引いても動かない状態に(T_T)。。。
キチンとハマってはいないのですが、一応固定はできました。(-.-;)
経年でポロッとリング金具がが外れる可能性はなきにしもあらずですが、動かないものは仕方がなく、このまま作業を進めることにしました。

(追記)

3年の時を経て案の定ポロっと外れましたが、これを機にボンドでがっちり固定し、2度目の完成を迎えましたw。

外革と内革を貼り合わせる

金具取り付け後は、念のため神ボンドスーパーXで本体に接着。
あわせてファスナーも接着します。
外周が緩やかなカーブを描いているのでファスナーの高さをあわせるのに気を使います。

接着面なので外から見えることはありませんが汚いですw。
ファスナーが接着できたら、いよいよ本体革どうしを貼り合わせます。
ポケットになる位置を外して全面にスーパーXを塗布し、予め空けてある縫い穴の位置がズレないように縫い針を数カ所挿して固定しながら貼り付けます。

外側の革と内側の革の縫い穴をピッタリ合わせるため縫い針で位置を固定して貼り合わせます。
これで難関はクリア。あとは外周の手縫いを残すのみです。

エスコードで外周を手縫い

いよいよ最後の工程。
楽しくも単純作業が大変である手縫いの工程です。
縫う距離の4倍のエスコードを用意するのですが、外周が意外に長く、まるまる一周分の4倍だと長すぎて糸の取り回しに苦労するため、右半分と左半分で分けて縫うことに。

縫い目がキレイに見えるようにあえて黒ではなく生成りの糸を使用しました。
レーシングポニー代わりのダイソーの100円万力。

マニフォールド風システム手帳 完成品ギャラリーと使用感レビュー

完成品ギャラリー

最後にコバを磨いて仕上げ。
で、やっと完成です。

ラウンドフォルムでファスナーの開け閉めは非常にスムーズ。

エクセラ(正確にはルミナ)ファスナーのマルチカラーがアクセントになってます。

シェルっぽいフォルムがお気に入り。ガラケーとiPhoneを中に入れるとさらに顕著に。

自作バインダー半年後のレビュー

実は年末のクソ忙しい時期にこんな作業をしていたのではなく、作ったのはもう半年以上前のことで、ヌメ革も徐々に飴色に変化しつつあります。

ペンホルダーはリフィルとして後付けで製作しました。
クリップ部分だけでなく全体が隠れることでプラスチッキーなサファリもオサレに収納できてます。

水をつけてペン型に丸めて乾燥させた後、カシメでFPのページリフターに強引に取り付け。

2017年用の自作リフィルをセットした図。
今のところ壊れる様子もなく日常使いとしては全く問題ありません。
以前使っていたFPのバインダーと比べて、大きくはなりましたが、リング径を25mmから15mmに小さくしているため全体が薄くなりそれほど大きさを感じさせません。
一番便利になったのは、3台ある携帯のうち、ガラケーとiPhoneを収納してすっきりと持ち運べることであります。
ちょっとしたポーチの役割も担えるってことですね。
また、革そのものがご立派になったためか、自作ながらこれまでのバインダーよりも高級感を醸し出しているような気も。
まさに、栃木レザーさまさまであり、経年でどのように変化していくのかも楽しみであります。

ということで、今回の工作は以上で終了です。
ご精読ありがとうございました。

【公式型紙で作る】マニフォールドのラウンドジップロングウォレットを自作してみた

FPを満足に使いこなせないことに気づき、高い純正リフィルをやめて自分でエクセルでテンプレートを作ってみたっていう話↓です。当ブログの中でも結構人気のある記事です。


フランクリンプランナーのリフィル代が高いので、コピー用紙からブランクページを簡単に作る方法を考えてみたっていう話↓です。


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